スペインの栄光

 06年3月24日から一週間とちょっとスペイン旅行をすることになった。

 その前日、図書館でスペインの関連の本を探しに行った。 司馬遼太郎「街道をゆく・南蛮の道U」を借りることにした。 ところがこの本、まことにもってピッタシカンカンの本でありスペインのことを知らなかった自分にいろんな情報を与えてくれた。

1.スペインの文化

 紀元8世紀にイスラムはイベリヤ半島(スペイン、ポルトガル)を侵略する。

 その後、約800年後、15世紀末に十字軍による国土再征服運動(イコンキスタ)により、イスラムをスペインから追い出すのに成功し再びキリスト教国に回復している。

(下は十字軍に降伏するイスラム軍の絵)

コルトバから去るイスラム軍

 800年間、イスラムによって征服されていたスペインは、イスラム文化を色濃く残す事になり、キリスト教国である他のヨーロッパの国とは一味異なった文化を持つ国になった。

 例えばイスラムが建造したモスクをキリスト教の聖堂や教会に改造している建物が多く見られる。

またイスラム文化の特徴であるモザイク模様の上からキリスト教の聖徒のレリーフ等が追加されているなど両方の文化が入り混じった味が濃厚に残っている。イスラムが建てたアルハンブラ宮殿

 また、16世紀には、イスラムが持っていた造船技術、航海術を使ってポルトガルとスペインは大航海時代に突入する。

 スペインから出航したコロンブスはアメリカを発見し、ポルトガルのバスコ・ダ・ガマはインドへの航路を発見した。 

 この大航海時代には、ローマ法王のお墨付きで大西洋上の北極から南極に縦の線を引き、その線の東側はポルトガル領、西側はスペイン領と決められたらしい。

 そして日本はちょうど真裏に位置するためポルトガル領かスペイン領かで国際的に(?)もめたらしい。ただ、当時、日本中いたるところに武士が居り、国内統治がしっかりしていたので現実には征服されなかったということである。

 ポルトガルがスペインより先に日本を発見したのでポルトガルが貿易を独占することになり、その関係でフランシスコ・ザビエルが最初に日本に上陸することになる。

 植民地からむしりとった富を積み上げ、日の沈まない時はないと豪語したスペインも16世紀の末には富の集積マシーンである無敵艦隊がイギリス海軍に大敗北した。  それ以来、スペインは凋落を重ねることになった。イスラム教が建てキリスト教が改装したメスキータ(コルトバ)

 植民地からの収奪経済は自国の産業発達を促すはずはなく、どーも、それが21世紀まで引きずってきてしまったようである。

 いったいこの国は、なにで成り立っているのだろうと考えると、工業製品は何も思い浮かばない。添乗員さんに聞くと農業と言う答えが返ってきた。 そういえば、一番の産業はオリーブ油であり、スペイン一面にオリーブ畑が広がっていた。

 ともあれ、16世紀に大もうけして金に糸目をつけずに立てた建造物がそのまま残ってはおり、素晴らしい世界遺産が多い。建造物がそのまま残ったのはスペインは岩盤の上に国が乗っており、そのために地震がない理由による。

 また、芸術文化の国で特に絵画がすごい。ベラスケス、エル・グレコ、ゴヤ、ピカソ、ダリ、ミロなど中世から現代にかけて世界的画家の排出が続いている。

そして、 怠け者が多く魅力的な国である。